東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花・・・
東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ梅の花 あるじなしとて 春な忘れそ 菅原道真 『拾遺集』巻十六雑春
春になって東風(こち)が吹いたら、匂いを大宰府へ送ってくれ。主人(私)がいなくなったからといって春を忘れるではないよ。
「おこす」は「遣わす」で送ってよこすという意味。
皆さんよくご存じの菅原道真の歌。「な」+「そ」の禁止を表す言葉が使われており高校の古文のテストや大学の入試にもよく出題される。
平安時代、菅原道真は藤原時平に謀られ大宰府に左遷された。道真は日ごろから愛でていた梅の木・桜の木・松の木などとの別れを惜しんだ。その時梅の木に語り掛けるように詠んだだのがこの歌である。
大宰府天満宮の飛梅伝説はこの歌から生まれた。
飛梅伝説
伝説によれば、道真を慕う庭木の内、桜は、主人が遠い所へ去ってしまうことを知って見る見るうちに枯れてしまった。梅と松は、道真の慕う気持ちが強く空を飛んで大宰府に向かった。ところが松は途中で力尽きて降りてしまった。(飛松伝説)梅は見事その夜のうち主人の暮らす大宰府まで飛んで行き、その地に降り立って根を生やした。
加賀前田家では利常のころから「前田家は菅原道真の子孫である」と称するようになった。
加賀前田家が家紋に剣梅鉢を使用するようになった所以である。
加賀前田家家紋
金沢のお正月用和菓
2023.3.1
高岡観光ボランティアガイド やまたちばな
本保澄雄